トランプ新大統領の政策予想

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やはり、どう考えても日本絡みのトランプ大統領の政策で予想できるのは以下のようなものだ。

  • 日本車への関税強化
  • 日本駐留の米軍の費用負担の、日本側の支払い増
  • 米国内産業を強めるための、ドル安誘導

じつは、「国内があまり変化しないで過ごせることが重要で、他の世界の国々の成長から取り残されても良い」といった選択は、ここ20年くらい日本が行ってきたものと同じなのだ。

日本は若い世代がじわじわと前の時代よりも貧乏(非婚、少子化、低賃金、雇用不安定、長時間労働等)になっていく中で、団塊の世代やバブル世代を中心に日本全体としては、社会がそう変化しなかった。

そうしているうちに、世界の他の国々はどんどん豊かになっていき、中国の富裕層が日本で爆買いを行い、海外の名門企業を買収したりプロスポーツチームを買収したりして話題になるのは、中国やロシアや中東やタイの企業となった。

それでも、日本人はあまり周りの国々に関心を持たず、自分の周りや社会があまり変化しないことを望んだのだ。

そのことは、人間としてはむしろ自然な反応なのかもしれない。イギリスのEU離脱やアメリカのトランプ大統領の誕生は、彼らの国でおこっている、移民の多量の流入や国内の貧富の差の急激な拡大など、激しすぎる変化に対する拒否反応とみるのが適当だと思われる。

頭で考えれば、国際化が経済的にプラスであることも、金持ちがさらに金持ちになるのを防いでも自分が豊かになるわけではないことも分かっている。しかし、心が、感情がついていかないのだ。昔から言われているように、大衆は自由よりも安定を求めるものなのだ。

そして、輸入を自由化して国際競争を激しくして経済をより発展させることよりも、関税を高くして国内産業を保護しいままでどおりのんびりと暮らしていけるほうがよいとねアメリカの工場労働者は(日本の農家も)思っている。

そういう国を尻目に、まだ守るものも少なくて変化を厭わない国々は、フラット化した世界の中で急速に力をつけ、どんどん先進国との差を縮め、あるいはいくつかの国を追い越していく。

つまり、少なくともトランプ大統領の時代は、相対的にアメリカの国際的・経済的な力は低下していくということだ。そして、そのアメリカに経済的・軍事的に依存し、もっと以前から内向きになっている日本はより窮地に立たされるということだ。

 

実は、冷戦が終結した今、なぜアメリカ軍が日本を守ってくれているのか、大半のアメリカ人は(日本人もだが)分かっていない。そして、それは”大衆派”大統領であるトランプ氏も同じなのだ。

多くの知識人が恐れていて口にしないことだと思うが、日本は戦後ずっと過ごしてきた「アメリカが守ってくれる」時代とは、違う時代に突入してしまったのかもしれない。

もっとはっきり言ってしまうと、現在一般的な日本人の感覚では、日本は独立国であるものの1/4くらいアメリカの属国であると思っていると思う(国際的には3/4くらい属国と思われているかもしれない)。そして、今後はそれと同じくらいの割合かそれ以上の割合で中国の属国とならなければならないかもしれないのだ。

 

アメリカは、グルジアやウクライナがロシアに蹂躙されるのを見捨てた。シリアが民主政権ではなく、ロシアの傀儡政権により統治されることもそのままにした。

フィリピンの海洋資源が、中国に好き放題されるのに対してなにもせず、ついにフィリピンは中国に従うことになった。

小国は大国の支援なしに、他の大国と対等に渡り合うことは実質的にできない。

 

しかし、幸いといっては言い過ぎかもしれないが、トランプは同じ白人のロシアには寛容な姿勢を見せているが、有色人種である中国には強い警戒感を示している。言い方は悪いかもしれないが、小国はせめてより待遇の良い大国につかなければいけないのだ。したがって当分日本のアメリカ重視の姿勢は揺るがない。

そういった中では、日本はあくまで中国とアメリカの間でバランスを取りながら、対中国に対するアメリカの代弁者の立ち位置をとらなければならない。そのアメリカに対する忠誠はトランプ時代が終わったあとに生きてくるだろうが、日本やアジアに無関心なトランプ時代は、日本にとって苦難の時代が続くだろう。その間、日本は中国を始めとする他の国々と深くかかわっていくことが重要となるだろう。

日本には国際的に商品になる天然資源が少なく、人的資源しかない。人間や会社の場合と同じく、他の国にとって「使える(役に立つ)」国であることが、自国を繁栄させる唯一の道であることにを今一度踏まえる必要があるだろう。それは、今後、アメリカにとってだけではなく、中国にとってもそうでなければならないということになるだろう。

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